レイプツリー ―今も中南米の国境線で起きている悲劇―

世界鬼畜事件史

 深夜、国境線に響くその声は、月に吠える獣の叫び声のように聞こえるという。だが、それらはレイプされた女性たちの悲鳴である。

 米国とメキシコの国境線の全長は、3141km、世界で最も頻繁に横断される国境で、毎年のべ3億5000万人が行き来し、100万人以上の不法入国者がいる。

 日中、米国とメキシコの国境を訪れると、樹木の枝に、オレンジ、青、白のグロテスクな装飾品がぶら下がっている。

 持ち主のわからないブラジャーやショーツ、アンダーウェアには、明らかに幼い少女のものも含まれている。

 強姦被害者の下着がぶら下がった木は、地元の人々に「レイプツリー」と呼ばれている。

 不法入国を手助けする人身売買業者を「コヨーテ」と呼ぶ。彼らは麻薬カルテルと連携し、薬物だけでなく人間も運ぶ。

 コヨーテは移民から多額の料金をとるだけでなく、女性へのレイプを不法入国の「入場料」の一部とみなしている。

 7万人以上とも言われる不法入国者の大部分は、エルサルバドル、グアテマラ、ホンジュラスなどの中南米諸国から来ている。

 アムネスティインターナショナルの報告によると、メキシコ経由で米国に渡った女性と少女の80%が、不法入国の過程でレイプされていたという。

 不法入国者たちは、「30分のハイキングだ」と言われ、1ガロンの水を与えられ、国境線へ向かう。だが、現実には「ハイキング」は通常、数日かかる。

 隠れ家から隠れ家へ移送される途中、女性たちは密輸業者から何度もレイプされる。運が悪ければ殺害される女性もいる。

 飛び抜けて容姿の美しい女性は、麻薬カルテルのボスへの献上品にされる。

 コカインを服用させ、入浴さえ許さず、ひたすら強姦を繰り返す。母娘で、姉妹で犯された女性もいる。被害者の女性は語っている。「彼らは何度も私たちをレイプし、もはや私たちを人間と見なしませんでした」

 母親たちは、不法入国に旅立とうする幼い娘たちに、避妊薬やその他の避妊具を持たせるのが一般的だ。レイプツリーの周りには、コンドームが散乱していることも多い。

 不法入国者たちに法律の保護はない。強姦されても当然、被害届は出せない。警察に駆け込めば強制送還されてしまうからだ。だから黙って耐え忍ぶしかない。

 ある年の報告によれば、米国入国管理局が拘束した10、653人の女性のうち、965人の女性(約10%)が(レイプによって)妊娠していたという。

 米国への不法入国者数は、トランプ政権の一年目は急減したものの、現在では再び就任前の水準まで戻っている。

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